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ニュース: 東欧に先端医療機器 政府ODA活用し輸出支援
2013-07-01
政府が成長戦略の一環で、東欧諸国を対象に先端医療機器の売り込みに乗り出す。東欧では医療設備の老朽化が進み、大規模な更新需要が見込まれている。政府開発援助(ODA)を使って日本の医療産業の進出を後押しし、先行するドイツなどに対抗する。第1弾はモルドバで、約60億円の円借款を供与する。
モルドバとは27日にも円借款の調印をする。同国への円借款供与は1992年に外交関係を樹立して以来初めて。日系企業による3割以上の受注を条件に、金利などを優遇する。首都キシニョフの中核病院に、磁気共鳴画像装置(MRI)、コンピューター断層撮影装置(CT)などの先端医療機器を導入する。
ウクライナなど旧ソ連の東欧諸国、バルカン半島の国々への円借款も視野に入れる。東欧から旧ソ連にかけての旧共産圏では病院、医師がそろっている。今後、所得水準の向上に伴って、先端医療機器の需要が増大すると見込まれている。
安倍晋三首相は4月にロシアを訪れた際、プーチン大統領と医療分野の協力強化で一致した。先端医療機器の需要はロシアでも高まるとみられるが、ODA対象国ではない。政府としては円借款などを呼び水にできる東欧諸国にも力を入れ、民間企業の進出を後押ししていきたい考えだ。
MRI、CTは日本企業では東芝、日立製作所が強みを持つ。ただ、世界市場では独シーメンスや米ゼネラル・エレクトリック(GE)が大きなシェアを占める。東欧で先端医療機器の受注が実現すれば、日本企業が現地企業と代理店契約を結び、拠点開設が加速するなど、波及効果が生まれてくる可能性がある。
東南アジアの国々に比べると、東欧諸国では所得水準が比較的低い国でも医療機器の品質や、先端医療技術を求める傾向が強い。地理的に近く、交流が深いドイツやオランダに優位性があるものの、政府は官民一体で売り込めば日本企業が割って入ることは可能とみている。日本の医療産業が成長するため東欧市場を重視し、今後も輸出拡大を支援していく方針だ。
日経新聞 2013.6.25
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS24040_V20C13A6MM0000/