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ニュース: ギリシャ緊縮策で健康悪化 国際研究チームが分析
2013-04-25
財政危機に陥ったギリシャ政府が、金融支援と引き換えに医療分野で大幅な緊縮策を実施した結果、低所得者層を中心に国民の健康が大きく損なわれた可能性があるとする分析を、米国やギリシャの研究チームが20日までに米医学誌に発表した。
長引く貧困や失業に伴って自殺や精神疾患、感染症の件数が増えた一方、公的医療サービスの質が低下したのが背景。チームは「予想以上に影響が大きい。医療分野の安易な緊縮策は避けるべきだ」と指摘している。
ギリシャのアリストテレス大と米ニューメキシコ大のチームによると、ギリシャでは2007年以降、自殺や殺人、精神疾患の件数に加え、マラリアやエイズなどの感染症が増加。11年には公的医療機関の入院患者や初期診療件数が前年の3倍近くに増えた。
ギリシャは10年以降に緊縮策の一環として医療制度改革を実施。公的医療サービスから営利企業への移管が進み、12年までに国の医療費が24%減った一方で国民の負担増を招いた。
所得が低い層はもともと家計に占める医療費の比率が高く、安価な公的医療機関の受診者は逆に増加。こうしたことが全体として医療の質を低下させる要因になったとチームはみている。
共同通信社 4月22日