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ニュース: 首相、最先端医療視察 サガハイマットを絶賛「国も力入れたい」


2013-05-20

 

■成長戦略の柱に 難航する寄付集めに希望の光

 安倍晋三首相は19日、6月1日に開院する佐賀県鳥栖市の九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット)を視察した。アベノミクスの3本の矢の1つ「成長戦略」で柱にすえる先端医療の現場に足を運んだ首相は、その治療技術を絶賛した。サガハイマットは朝日新聞などの批判を受け、寄付集めに苦慮しているだけに首相の視察は希望の光となったようだ。(田中一世)

                   ◇

 「日本の物理学、医学などの力を結集した素晴らしい施設だ。世界中から鳥栖に治療に来ると思う。日本にしかできないことだ。国も大いに力を入れたい」

 首相は、加速器室と治療室を視察し、施設の担当者にこう強調した。首相自身も難病に苦しんでいるだけに医療分野の改革には特に思い入れが強い。最先端の粒子線治療を積極的に海外に売り込み、主導権を握りたいとも考えている。2日に訪問したアラブ首長国連邦(UAE)でも粒子線治療施設を日本の技術協力で建設することに合意した。

 担当者が中国や台湾の医療機関からも問い合わせが相次いでいることを説明すると、首相は「ロシアや中東諸国を訪問したときも日本のがんの最先端技術を自分の国で使いたいとの要望があった」と満足そうに語った。

 サガハイマットは全国4番目、中国地方以西では初めての重粒子線がん治療施設。エックス線よりも質量が重く、破壊力の強い「重粒子線」(炭素イオンなど)を光速の7割にまで加速させ、体の表面から照射し、体内のがん細胞を死滅させる。切除手術を必要としないため患者への負担が少なく、高齢者や長期休職が難しい人も通院治療が受けられる。

 機器や医薬品など医療産業全般では日本は劣勢に立たされているが、粒子線治療技術は日本のお家芸といえ、装置の大半は日本メーカーが製造する。サガハイマットで導入した重粒子線を発生・加速させる「加速器」や「照射装置」も三菱電機などの国産だという。

 そんなサガハイマットも順風満帆とはいえない。総事業費150億円は、佐賀県の補助金や民間企業からの寄付でまかなう計画だったが、3月末までに支払われたのは104億円にすぎない。最大のスポンサーだった九州電力も、玄海、川内両原発の停止による経営悪化で39億7千万円の寄付の支払いが遅れている。

 九電は何とか寄付を続けるつもりだが、これに一部メディアがかみついた。中でも朝日新聞は「電気料金が『電気』とは全く別のものに使われてはたまらない。使うには高い費用がかかり、利用者は限られる。広く集める電気料金の使途として理解が得られるとは思えない」(平成24年11月1日付西部版朝刊社会面)などと九電の寄付行為を徹底的に批判した。

 このようなメディアによる批判は地方議会にも飛び火。鳥栖市が一般会計当初予算案に盛り込んだ財団への4億5千万円の補助金も市議会に「必要性の説明が足りない」と反対され、削除してしまった。

 それだけに首相の視察の意味は大きい。視察後、首相は記者団に「医療・医学分野は政権の政策の柱にしていく。阻害するさまざまな規制を一日も早く取り除くことが、病に苦しむ人たちの要望に応えることにつながる」と述べ、先端医療分野を政府が全面支援する考えを表明した。

 佐賀県健康福祉本部の担当者は「批判的な話題で取り上げられることが多かったので首相の視察で本質にスポットライトが当たるのは非常にありがたい。元気が出ます」と語った。

 

msn 2013.5.20

 http://sankei.jp.msn.com/region/news/130520/sag13052002100000-n1.htm