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ニュース: 外貨準備で新興国国債 日本・ASEANが通貨交換協定
2013-04-26
日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国が新たな金融協力の枠組みをつくる。日本が外貨準備で新興国の国債を購入、各国の財政資金の調達の安定を通じて成長を促す。通貨交換協定も結び、危機対応に備えるほか、日本からの進出企業の資金調達を支援する。金融危機を機に発足した中韓も参加する金融協力とは別の枠組みで、日本の支援姿勢を鮮明にすると同時にアジアの成長を日本にとりこむ。
5月3日に、日本とASEAN加盟国が財務相・中央銀行総裁会議を初めて開催し、新たな金融協力の枠組みを発表する。5月2~5日にニューデリー郊外でアジア開発銀行(ADB)の年次総会が開かれるのに合わせて開催する。会議には麻生太郎副総理兼財務相と日銀の黒田東彦総裁が出席する。
外貨準備による新興国の国債購入はASEANの成長を後押しする狙い。先進国と比べ流動性の乏しいアジアの債券市場に資金を供給し、各国の財政資金の調達の安定を支援する。アジア国債で運用する上場投資信託への投資を想定している。
タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピンと、2国間で外貨準備のドルを融通できる通貨交換協定を締結・拡充することでも合意する。柔軟に資金融通できる別の枠組みを日本とASEANの間で整える。
1997年のアジア通貨危機を受け、日中韓とASEANは「チェンマイ・イニシアチブ(CMI)」を発足。2400億ドル(約19兆円)の資金融通枠を確保している。だが、国際通貨基金(IMF)の支援など融通の要件が厳しい。
一方、ASEAN諸国に進出する日系企業を現地の中央銀行が支援する。日本国債を担保に、邦銀に現地通貨を貸し出す仕組みをつくる。円と現地通貨を直接取引することも検討を始める。
このほかミャンマーやカンボジアなど、発展途上にある加盟国への援助も強化する。
中国・韓国は新たな枠組みには参加しない。日本は中韓とは個別に金融協力協定や通貨交換協定を結んでいる。5月3日には従来の枠組みであるASEANと日中韓の財務相・中銀総裁会議も開かれる。
日経新聞2013/4/25