医療産業の海外戦略コンサルティング企業  ㈱ボーラボ

お気軽にお問い合わせください お問い合わせ 海外医療の求人・就職
海外の病院などをご紹介、まずはご登録ください。
求人フォーム

海外医療機関などご紹介
まずはご登録ください。

求人登録フォーム

ニュース

日本の介護 ベトナムに


2017-06-21

日本の介護 ベトナムに

 
  • 介護の基本動作やコミュニケーションについて学ぶベトナムの看護師ら(高松市で)
    介護の基本動作やコミュニケーションについて学ぶベトナムの看護師ら(高松市で)

 

 日本の介護技術を学んで母国の医療現場で役立てようと、ベトナムの看護師たちが高松市の特別養護老人ホーム「あかね」を訪れ、約1か月間にわたり研修を受けた。同国でも今後は高齢者の増加が見込まれることから、介護技術の向上が課題になっているという。同ホームは「ベトナムで介護技術の指導者となる人材を育てたい」とする。人手不足に悩む日本の業界にとっても、研修生たちは〈渡りに船〉の存在という。(岸田藍)

 

 ◇高松で研修 看護師「母国で役立てたい」

 「おいしい?」。先月22日午後、おやつの時間にドァン・ティー・ガンさん(35)が片言の日本語で話しかけると、コーヒー牛乳でクッキーをほおばる男性(93)の顔がほころんだ。男性は思うように話ができないため、ガンさんは表情を見ながらおやつを一口ずつ運んでいく。「喉の動きや表情から、次の動きを考えています。目線を合わせてコミュニケーションをとることが大切なんですね」と笑った。

 同ホームは2014年からベトナムの医療機関と交流を続け、相互に視察団を受け入れるなどしている。研修生を受け入れるのは今回が初めてで、5月1~26日、ベトナム南部のホーチミン市にある国の直轄病院「トンニャット病院」からガンさんのほか、看護師長のリー・キュー・チンさん(45)、若手のグエン・ティー・ゴック・ザオさん(24)の3人を招いた。

 ベトナムでは、病院で寝たきり状態の患者は家族が世話をするのが一般的。より快適な入院生活を送ってもらうため、看護師が介護技術を学ぶ必要があるという。このため来日した研修生たちは着替えや入浴など、日常生活全般について日本の技能を学ぶ。

 ベッドから車椅子に移すなど、寝ている相手を起こす動作では、まず相手の手足を出来るだけ小さくまとめ、お尻を支点に肩と膝を支えながら相手の頭が弧を描くように持ち上げる。電動ベッドでなくても、少ない力で動かせるよう考えられており、チンさんは「日本の介護は、ちょっとした動作でもなるべく相手に負担をかけないよう考えられている。帰国したら看護師教育に役立てたい」と話した。

 

  •  

 ◇25年度 職員38万人不足

 研修本来の目的は技術支援だが、受け入れる側にも介護職員不足の解消というメリットがある。

 厚生労働省の推計によると、全ての「団塊の世代」が75歳以上になっている2025年度、介護職員は全国で約38万人不足する。県内でも2347人の人手不足が予測されている。

 同ホームでは、7月にもホーチミン市の看護学校教師ら4人を招いて研修を実施する。吉岡和子施設長(76)は「人口減少と高齢化のまっただ中で、海外からの人材は必要不可欠。今後はベトナムでも介護技術が高まり、日本で一緒に働いてくれる時代になれば」とベトナムでの広がりに期待する。

 

出所:YOMIURI ONLINE