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ニュース:マレーシア、医療観光大国へ本腰


2014-01-04

東南アジア各国が国外から来る病気治療の患者を受け入れる「医療ツーリズム」の育成に力を入れている。英語や中国語など複数言語を操る人材の多さが強みで、成長戦略の柱に据える国が多い。インドネシアなど隣接国から多くの患者を受け入れるマレーシア北部ペナン州の病院を訪れ、医療ツーリズムの現状を探った。

 

ペナン州のラム・ワー・イー病院の受付は複数の言語に対応する
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ペナン州のラム・ワー・イー病院の受付は複数の言語に対応する

 ペナン州中心部からやや外れた場所にあるラム・ワー・イー病院。会社員の妻ヌルハヤさん(60)は胸部の手術を受けるため、インドネシアの地方都市メダンからやって来た。この病院の利用は初めてだが、多くの友人に勧められて海を渡る決心をした。広々とした2人部屋でのんびりとくつろぐヌルハヤさん。「ここは落ち着く。外国とは思えないねえ」

 

 ラム・ワー・イー病院はがんなどの手術に定評があり、ベッド数は500を超える大型病院だ。同病院を訪れる患者の2割が外国人。なかでもインドネシアから来る患者が大半を占める。「10年前は外国人の患者はほとんどいなかったが、この数年で急速に増えた」。顧客サービス部門を率いるジャネット・リムさんは語る。

 大きな強みが言語だ。もともとが多民族国家のマレーシアは中国語やマレー語に加え、英語を流ちょうに操る人材も多い。インドネシア人が使うインドネシア語はマレー語に近く、意思の疎通には問題がない。同病院には華人のスタッフも多く、インドネシアの華人には中国語での診察も可能だ。

インドネシア人患者受け入れに向けた体制整備も進めている。メダンに駐在員事務所を設け、インドネシア人の患者の相談に乗る。病院内にはインドネシアの通貨ルピアとマレーシアのリンギを交換する両替所すらある。最も高い病室で1泊500リンギ(約1万5千円)。マレーシアより所得水準が低いインドネシアの中所得層でも利用しやすい手ごろな料金を設定した。

 交通網の整備もインドネシアからの患者受け入れを後押しする。ペナン州とメダンの間にはエアアジアなど格安航空会社(LCC)が複数就航し、1時間以内で両都市を結ぶ。割安な航空料金を背景にメダンから訪れる患者が増え、路線数が増える好循環を呼んでいる。

 ラム・ワー・イー病院に入院する80歳女性には娘ら5人が同行した。「LCCの路線が増えたから気軽に来れるようになった。元気になったらペナン州の街を観光したい」。医療目的で訪れた患者が観光産業を底上げする相乗効果も生まれている。

 2012年にマレーシアを医療ツーリズムで訪れた患者は67万人と5年前の2倍に膨れた。同国の政府系病院は高級病院を展開し、外国人患者の受け入れを拡大している。ペナン州のような地方も海外の市場開拓に本腰を入れる。複数の国が隣接する地の利や言語能力などの強みに加え、外国人患者向けサービスの水準を高めた結果だ。

 日本は観光産業を成長戦略の柱の一つに据え、医療ツーリズムの育成も目指す。だが外国語で診療・看護できる人材の不足や高い航空運賃などハードルも高い。日本が医療ツーリズム産業を育てるためには、外国人看護師の受け入れやLCCの誘致の拡大などが必要になるだろう。


2014年1月4日
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/markets/kaigai/emerging.aspx?g=DGXNMSGM2701N_27122013000000&df=1