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ニュース: 医療観光 じわり増加 手軽さと安さが魅力 トラブル対応に尽力


2013-09-30

医療観光を目的に韓国釜山市を訪れる日本人がじわじわと増えている。その多くは女性で、美容関連を中心に皮膚科や美容外科などを訪れているという。不安視される医療事故などのトラブルには同市が対応に力を入れており、海峡を挟んで進む九州との医療交流の活発化を期待する声もある。 (釜山・井崎圭)

 ▼日本語もOK

 「カチンッ、カチンッ」。釜山市の繁華街・西面にある美容外科医院。施術室でベッドに仰向けになった会社員女性(33)の顔に、男性医師が何度も注射を打つ。銃に似た注射器からはホチキスのような音が聞こえ、ちょっと痛そう。それでも女性は「ハチに刺されたような痛みがあったけど、明日からの肌が楽しみ」と満足そうだった。

 女性は広島市在住で、9月中旬に2泊3日の旅行中に医院を訪問。肌の張りを改善するため、顔の内部にヒアルロン酸を注入する施術を受けた。

 韓国語は理解できないが、旅行前にインターネットの日本語観光サイトで医院の情報を見つけて予約。「日本語スタッフもいたし、韓国は美容の病院が多くて技術も先進的だと考えた」と来院の理由を語った。料金も20万ウォン(約1万8千円)と手頃だったようだ。

 ▼2年で3倍に

 韓国保健福祉省の調査によると、2011年に釜山市を医療観光で訪れた日本人は837人。2年間で3倍を超す伸びを見せた。顔のほくろ切除▽染みの除去▽東洋医学を生かした針治療-を受ける人が多いという。

 魅力は手軽さと安さだ。日本人に釜山の病院を紹介する医療コーディネーター趙美貞(チョミジョン)氏(34)は「短期旅行で簡単にできる美容の施術は人気が高い。日本より割安な点も注目される理由の一つ」と解説する。市内の大手美容外科によると、ほくろ1個の切除で1万ウォン(約920円)、二重まぶた形成なら99万ウォン。いずれも30分~1時間半程度で済むという。

 ただ術後のトラブルには不安もある。今夏、顔の肌の色を改善する施術を受けた福岡市の30代女性会社員は「思ったほど効果がない」と不満を漏らす。帰国後に結果が分かったため、苦情を言うのはあきらめたという。

 万が一、医療事故が起きる可能性も否定できない。福岡市の旅行代理店幹部は「医療観光を取り入れた海外旅行商品に興味を持つ人はいるだろうが、事故のリスクを考えれば怖くて企画できない」と明かす。

 ▼外貨獲得狙う

 釜山市は、こうした術後トラブルや医療事故への対応に力を注ぐ。市側では
日本語でも電話で24時間相談できる医療コールセンターを運営。外国人利用者の苦情を受けたり、紛争解決の調整手続きをしたりするという。

 同市の熱心さには理由がある。医療観光は「外貨獲得や観光客の増加につながる」とみているからだ。毎年主催している「釜山国際医療観光コンベンション」は、今年は9月上旬に開かれ、約90の医療機関や大学が出展し、約4万人が訪れた。その場で歯や顔の骨格のバランスが探れる最新鋭画像システムの体験や、韓方医院が企画した無料の体質診断が人気を集めていた。

 同コンベンションには韓国人のがん患者を受け入れている表参道吉田病院(熊本市)も参加。釜山市の医療観光担当課の崔明植(チェミョンシク)主査は「九州と医療交流が活発になり、双方の得意分野の医療サービスが受けられるようになれば、互いの利益になる。今後の広がりを期待したい」としている。

西日本新聞 2013/09/30

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/article/42959