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ニュース: 日本の再生医療、世界へ第一歩 中国やタイで事業化調査


2013-09-29

日本の高度な再生医療技術を輸出するプロジェクトが動き出した。富士フイルムと関連会社のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)は共同で、年内に中国、タイで人工皮膚や人工軟骨の事業化に向けて現地調査に着手、2014年中に両国に治療認可を申請する方針だ。経済産業省も成長戦略の柱とする医療輸出の一環として、補助金などでプロジェクトを支援する。再生医療技術の海外展開は現在までのところ海外勢に先行を許しているが、官民を挙げて巻き返しを目指す。

 「日本の再生医療が世界に羽ばたく足がかりになる重要なプロジェクトだ」。経産省幹部は8月5日に今年度の「医療機器・サービス国際化推進事業」の一つに選ばれたJ-TECと富士フイルムの中国、タイでの実証調査の意義をこう強調する。

 経産省から補助金

 両社はすでに現地の規制や有力な提携病院を調べるため、担当者を派遣。経産省から数千万円の補助金を得て、来年3月までに現地で5~10例の臨床試験を実施する。そのデータを基に、現地当局から治療認可が得られれば、15~16年度にも両社が出資する現地製造拠点を設立し、提携病院に販売する計画だ。

 

 1999年創業のJ-TECは、薬事法の承認を得た再生医療製品を製造・販売している唯一の国内企業。09年1月に人工皮膚「ジェイス」が、ヒト細胞を利用した再生医療製品として国内で初めて保険適用が認められ、今年4月には人工軟骨「ジャック」も対象に加わった。

 J-TECに約4割出資する富士フイルムは、写真フィルムの素材研究の成果を基に、細胞増殖の「足場」となる人工タンパク質素材を開発。J-TECに資金・技術両面で協力するとともに、9月1日には50人規模の再生医療専門部署を新設し「これまで培った技術を生かして再生医療を成長事業に育てたい」(コーポレートコミュニケーション部)と意気込む。

 だが、国内の再生医療市場の規模は小さい上、適用症例などの規制が厳しい。

 そのため、海外に目を向けざるを得ないのが実情だ。J-TECは今回、富裕層が増えている中国で、肌がまだらに白くなる「白斑」など美しさを損なう症状への治療に人工皮膚を活用。医療ツーリズムの受け入れ態勢が充実するタイでは、人工軟骨を展開する方針。規模の大きい海外市場で現地のニーズに合わせた製品を展開し、一気に事業拡大を図る狙いだ。

 

 ただ、海外メーカーとの激しい市場獲得競争は必至だ。経産省の報告書では、昨年12月時点で、各国で市場投入されている再生医療製品は、韓国が14品目、米国が9品目と日本を大きくリードする。

 「自家移植」が持ち味

 これに対して、日本は患者本人の身体から採取した細胞を培養して移植する「自家移植」が海外勢にない持ち味だ。J-TECのジェイスやジャックは医療機関が採取した正常な皮膚や軟骨の細胞を、愛知県蒲郡市の本社工場内で培養。一定期間のうちに生育させて医療機関に戻し、医師が本人に移植する仕組み。

 経産省は「他人から培養した人工皮膚などを使う海外の方式に比べて、副作用の心配が少ない」と自信を示す。

 

 J-TECも「日本の徹底した品質管理を生かしつつ、海外市場の基準に適合した製品も開発したい」(経営管理部)。日本のアドバンテージである「ものづくり」の力を発揮し、再生医療の世界市場を獲得できるか。また、新しい分野で官民の挑戦が始まった。(会田聡)

再生医療の市場予測

sankeibiz 2013.9.26

 http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130926/mca1309260600007-n1.htm