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ニュース: 政府、病院・医療保険ノウハウ新興国に提供 成長戦略で


2013-07-18

 政府は医療法人や保険会社と組んで、日本の高度な医療技術やサービスの国際展開に乗り出す。カンボジアを皮切りに、アジアの新興国に病院運営と医療保険のノウハウを一体で輸出する。月1~2ドル(100~200円)の安い保険料で医療保険を提供、低い患者負担で最先端の救急医療を受けられるような仕組みをつくり、日本の病院の海外進出を後押しする。

 「医療の国際展開」は政府が6月に閣議決定した成長戦略の柱の一つ。第1弾となるカンボジアでは、脳神経外科などで実績があり東京都八王子市で北原国際病院をはじめ4つの施設を運営する医療法人社団KNIが、約20億円を投じて2014年にもプノンペンに救急病院を開く。

 開設に合わせ、官民でつくる医療機関進出支援組織「メディカル・エクセレンス・ジャパン(MEJ)」がカンボジア政府を通じて保険契約や病院管理に関するノウハウを提供。事業に賛同する保険会社も選ぶ。

 カンボジアではオートバイの普及で交通事故が急増している。救急医療が整っていないため、交通事故死が同国の死因で2番目に多い。日本の一般的な救急医療の技術があれば緊急手術で一命を取り留めたり、脳挫傷時の死亡率を低下させたりする効果が望める。

 現地の病院に比べると日本の病院が使う医療機器は高額なため、治療費も高くなる。医療保険制度が充実していない同国では、保険がなければ受診者は富裕層らごく一部に限られてしまう。しかし、保険販売を組み合わせれば、KNIが運営する救急病院などで治療を受けても窓口負担を抑えられる。

 保険料は月1~2ドルとする見込み。日本貿易振興機構(JETRO)によるとプノンペンでの中堅技術者の平均月給は約300ドル。拡大する中間層を中心に、保険加入者が広がる期待がある。

 インドネシアにも保険と一体での医療輸出を検討している。西ジャワ州ブカシ県に日本の医療法人が進出を計画している。日本の生損保が医療保険サービスをこの地域で展開できるよう政府間で交渉している。

 アジアの新興国は一般医療の水準が低く、医療保険制度も整っていない。中国でも医療保険への加入は都市部に限られ、農村部では未整備という。医療保険の販売によって受診者を確保し、医療機関の海外進出を後押しする。ロシアや東欧諸国など医療技術のレベルが高い国々に向けては先進医療分野の輸出に力を入れる。医療輸出の重点は地域に応じて違いを出していく。

 

 安倍政権は成長戦略で日本の医療拠点を新興国を中心に2020年までに10カ所程度開設し、30年までに5兆円の市場獲得を目指す計画を打ち出した。すでにロシアのウラジオストクに画像診断サービスを提供する病院を開設したほか、アラブ首長国連邦(UAE)でも粒子線治療を実施する病院の設置で合意している。

日経新聞 2013.7.17

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1204C_X10C13A7MM0000/